株式投資を始めたばかりの皆さん、「株価」だけを見て投資判断をしていませんか?実は、株価の動きと同じくらい重要な指標があります。それが「出来高」です。出来高を理解することで、相場の強さや市場参加者の本気度を読み解くことができます。今回は、出来高の基本から実践的な活用方法まで、初心者にもわかりやすく解説していきます!
出来高の基本
出来高とは、ある期間(通常は1日)に取引された株式の数のことです。例えば、1日の出来高が100万株であれば、その日に100万株の売買が行われたことを意味します。
出来高は以下の2つの要素で構成されています。
- 売り注文の数量
- 買い注文の数量
重要なポイントは、売り注文と買い注文は常に同数になるということです。なぜなら、誰かが売った株式は必ず誰かが買っているからです。例えば、Aさんが1000株を売り、それをBさんが買った場合、出来高は1000株となります。
なぜ重要なのか
出来高が投資判断において重要な理由は、以下の3点です。
- 相場の強さを確認できる
株価が上昇しているときに出来高が多ければ、その上昇トレンドは強い可能性が高いです。
逆に、出来高が少ない上昇は、一時的な動きである可能性があります。 - 市場参加者の関心度がわかる
出来高が増えることは、その銘柄に対する市場の関心が高まっていることを示します。
特に、普段より大幅に出来高が増えた場合は、何か重要な動きがある可能性を示唆しています。 - 値動きの信頼性を判断できる
例えば、株価が大きく上昇しても出来高が少なければ、その動きは一部の投資家による作為的なものかもしれません。
反対に、大きな出来高を伴う動きは、多くの投資家が参加している信頼性の高い動きだと考えられます。
活用方法
出来高を実際の投資に活用する方法をいくつか紹介します。
- トレンドの確認
- 株価上昇時:出来高が増加していれば強気トレンド継続の可能性大
- 株価下落時:出来高が減少していれば底値圏の可能性
- ブレイクアウト(急騰・急落)の確認
- 株価が重要な価格帯を突破する際の出来高増加は、トレンド転換の証
- 普段の3倍以上の出来高は要注目
- 底値・天井の確認
- 大きな出来高を伴う暴落は買いのチャンス
- 出来高の急増を伴う急騰は利確のタイミング
- 市場のコンセンサスを読む
- 高値更新時の出来高増加は強気相場継続のサイン
- 安値更新時の出来高減少は下げ止まりのサイン
- 需給バランスの確認
- 大きな出来高の後の株価上昇は、売り圧力の解消を示唆
- 小さな出来高での下落は、一時的な調整の可能性
出来高で何がわかるか
出来高の分析から、以下のような情報を得ることができます。
- 人気度・注目度
出来高が多い銘柄は、市場参加者の関心が高く、情報も集まりやすい傾向にあります。 - 売買のしやすさ
日々の出来高が多い銘柄は、売買がしやすく、希望する価格で取引できる可能性が高くなります。 - 機関投資家の参入状況
急激な出来高の増加は、機関投資家など大口投資家の参入を示唆することがあります。 - 相場のターニングポイント
通常の何倍もの出来高を記録した日は、相場の転換点である可能性が高くなります。 - 株価の上値・下値
過去の大きな出来高が発生した価格帯は、重要な節目となることが多く、その後の上値・下値の目安になります。
他に見るべき指標
出来高と合わせて確認すると良い指標をご紹介します。
- 移動平均出来高
過去一定期間の平均出来高。これと比較することで、現在の出来高が多いのか少ないのかを判断できます。 - 売買代金
出来高×株価で計算される指標。時価総額の大きな銘柄と小さな銘柄を比較する際に有用です。 - 信用残高
信用取引における売りと買いの残高。出来高と合わせて見ることで、相場の方向性をより正確に予測できます。 - 時価総額
出来高を時価総額と比較することで、その銘柄の流動性を判断できます。
このブログでは・・・
このブログでは、毎週末に移動平均出来高を算出して33業種ごとの情報を投稿しています。
そこで、どの業種の出来高が多いのか、どの業種の出来高が少ないのかを見て、活況な業種を確認できるようにしています。
実践的な銘柄選び
出来高を使った具体的な銘柄選択方法をいくつかご紹介します。
- 出来高急増銘柄を探す
- 過去の平均出来高と比較して3倍以上の出来高を記録した銘柄をリストアップ
- その中から、株価が上昇している銘柄を選択
- ニュースなど材料も確認して投資判断
- 底値圏の銘柄を探す
- 株価下落が続いていた銘柄で出来高が急増した銘柄を探す
- 特に、大きな出来高を伴う暴落後、出来高が減少しながら下げ渋る銘柄に注目
- 財務状況もチェックして投資価値を確認
- トレンド転換銘柄を探す
- 長期の下降トレンドから、大きな出来高を伴って反発した銘柄をリストアップ
- 出来高の増加が継続している銘柄を選択
- 業界環境や企業の成長性も確認
注意点
出来高を分析する際は、以下の点に注意が必要です。
- 時期による変動
決算発表時期や権利確定前後は、通常より出来高が増加する傾向があります。これは一時的な現象かもしれません。 - 分割・併合の影響
株式分割や併合があった場合、過去の出来高をそのまま比較することはできません。調整後の数値で比較する必要があります。 - 出来高だけで判断しない
出来高は重要な指標ですが、これだけで投資判断をするのは危険です。常に株価の動きや企業の fundamentals(基礎的条件)と合わせて判断しましょう。
まとめ
出来高は、株価の動きと合わせて見ることで、相場の強さや市場参加者の本気度を読み解くことができる重要な指標です。特に、普段より大きな出来高を観察することで、相場の転換点や重要な価格帯を見つけることができます。
ただし、出来高は「結果」を表す指標であり、将来の株価を必ずしも予測するものではありません。他の指標や企業分析と組み合わせることで、より確実な投資判断ができるようになります。出来高分析は、投資の基本スキルの一つとして、ぜひマスターしておきたいテクニックです。
