株式投資のテクニカル分析は、移動平均線やオシレーターといった指標が主流ですが、チャートの「形」そのものに注目する、より直感的な分析手法も存在します。今回解説するのは、その強力なツールである「パターン認識系指標」です。
「特定のローソク足パターンって、一体何を示しているの?」「チャート分析を自動化したい!」そんな疑問をお持ちの方、必見です!この記事では、TA-Libで利用できるパターン認識系指標を網羅し、主要なパターンについてはその活用法まで深掘りしていきます。
パターン認識系指標とは?
パターン認識系指標(Pattern Recognition)は、ローソク足チャートに現れる特定の形状やパターンを自動的に検出するための指標群です。これらのパターンは、長年の市場分析から、その後の価格動向を予測する上で高い確率で機能することが知られています。
TA-Libのパターン認識関数は、過去のチャートデータからこれらのパターンを検出し、その結果を数値で返します。これにより、経験や勘に頼りがちなチャート分析を自動化・効率化し、見落としがちなシグナルを素早く発見することができます。
TA-Libのパターン認識関数は、特定のパターンが存在する場合に100(強気パターン)、存在しない場合に0、逆のパターンが存在する場合に**-100(弱気パターン)**を返すのが一般的です。
TA-Lib パターン認識系指標一覧と詳細解説
TA-Libは、日本のローソク足パターンを含む70種類以上のパターン認識関数をサポートしています。ここでは、特に有名で実用性の高いパターンについて、その詳細な解説と活用法を深掘りします。その他のパターンについても、TA-Lib関数名とともに一覧でご紹介します。
1. モーニングスター (CDLMORNINGSTAR)
トレンドの底打ちを示唆する、強力な強気の反転パターンです。
- 概要
3本のローソク足で形成されます。- 大きな陰線(下降トレンドの継続)
- 窓を開けて下放れたコマや同時線(売り圧力の弱まり)
- 窓を開けて上放れた大きな陽線(買い圧力の復活) このパターンは、下降トレンドの最中に市場の不確実性が高まり、その後買い手が優勢に転じたことを示唆します。

- 活用法:
- 下降トレンド中に出現した場合、買いシグナルとして機能します。
- このパターンが形成された後、陽線が続くか、出来高が増加するかなどを確認することで、シグナルの信頼性を高めることができます。
- 注意点:
このパターン単独で判断するのではなく、他の指標(例:RSIの売られすぎ水準)と合わせて判断することで、ダマシを減らすことができます。
2. イブニングスター (CDLEVENINGSTAR)
モーニングスターとは対照的に、トレンドの天井を示唆する、強力な弱気の反転パターンです。
- 概要
3本のローソク足で形成されます。- 大きな陽線(上昇トレンドの継続)
- 窓を開けて上放れたコマや同時線(買い圧力の弱まり)
- 窓を開けて下放れた大きな陰線(売り圧力の復活) このパターンは、上昇トレンドの最中に市場の不確実性が高まり、その後売り手が優勢に転じたことを示唆します。

- 活用法:
- 上昇トレンド中に出現した場合、売りシグナルとして機能します。
- 特に、出来高が急増している場面で出現すると、より強力なシグナルとなります。
- 注意点:
このパターン出現後、安値を切り下げる動きが確認できるまで待つなど、他の分析と組み合わせることでリスクを管理することが重要です。
3. ハンマー (CDLHAMMER) & 首吊り線 (CDLHANGINGMAN)
この2つのパターンは形が似ていますが、出現する位置によって全く異なる意味を持ちます。
- 概要
ローソク足の実体が短く、長い下影を持つ一本足で形成されます。- ハンマー:下降トレンドの最中に現れ、安値圏での強い買い圧力(底打ち)を示唆する強気の反転パターンです。

首吊り線: 上昇トレンドの最中に現れ、高値圏での売り圧力の高まり(天井)を示唆する弱気の反転パターンです。
- 活用法:
- ハンマー:下降トレンド中の安値圏で出現した場合、買いの検討材料となります。
- 首吊り線:上昇トレンド中の高値圏で出現した場合、売りの検討材料となります。
- 注意点:
いずれのパターンも、その後のローソク足の動き(ハンマーなら陽線、首吊り線なら陰線)を確認することで、信頼性を高めることができます。
その他のパターン
TA-Libには、上記以外にも多くのローソク足パターンを認識する関数が実装されています。これらの関数は、特定のパターンが存在する場合に100(強気パターン)、存在しない場合に0、逆のパターンが存在する場合に-100(弱気パターン)を返します。
まとめ:パターン認識でチャート分析を自動化する!
今回は、TA-Libで利用できるパターン認識系指標について、その多様性と活用法を詳しく解説しました。
パターン認識系指標は、チャートの「形」という視点から相場を分析する強力なツールです。これらの指標を活用することで、経験や勘に頼りがちなチャート分析を自動化・効率化し、見落としを防ぐことができます。
どのパターンも単独では限界があります。それぞれの特性と限界を理解し、複数の指標を組み合わせたり、他の分析手法と併用したりすることで、その分析精度を格段に高めることができます。
TA-Libは、これらの指標を簡単に計算するだけでなく、独自の投資戦略を構築する上で無限の可能性を秘めています。ぜひ、ご自身の投資スタイルに合った指標を見つけ、活用してみてください。
TA-Lib解説シリーズはこれで一区切りとなります。もし「TA-Libの具体的なPythonコード例が見たい!」といったご要望があれば、ぜひコメントで教えてくださいね!皆さんの投資ライフがより豊かになるよう、これからも役立つ情報をお届けしていきます!
